What's new!
2025/3/19
Beat-Sonic MUSEE MA250 カーオーディオアンプ 改造と音質調整
最近は D級デジタルアンプ含め、ほぼデジタル化が進みカーオーディオの楽しみ方も様変わりしてきました。DSPで音場を整えたり、様々な楽しみ方があります。
しかし趣味であれば、異なる楽しみ方もあるはずです。
と言うことで 久しぶりに調整的な改造の依頼がありました。
Bead-Sonic MUSEE MA250(生産終了品)カーオーディオアンプの改造と調整です。このアンプは真空管を使っているハイブリッドなアンプとなります。
真空管を変えて音の変化を楽しむことも可能です。
御客様の要望は 正に「真空管を変えて楽しみたい」という要望でした。
改造にあたって最も考えたのは 「真空管を変えたときにその良さが出る改造」です。言い換えると 「真空管の音質変化の邪魔をしない音質向上」です。
一般の改造例を見ますと 大抵のうたい文句は 「良い音」なんですが、これは簡単そうですが、そうでは無いのです。「音を変える」のは簡単ですが、御客様の気に入った音は 人それぞれ。10人にいれば10通り違うと言っても過言ではありません。良い音ってどんな音? になってしまうのです。また良いと言われる部品や高価な部品というだけでは音質の改善は難しいです。理由は簡単で一部の部品だけで製品ができているわけでは無いからです。
今回は 事前に御客様の楽しみ方を良く伺って できるだけ元の良さを生かす方向で改造と調整を行いました。
まず 素の状態で 確認しますと中高音に雑っぽさはありますが、真空管らしい味わいのある音がしています。
回路を追いかけてみますと このアンプのパターンや設計は少し一般的な作り方と異なる実装をされていました。設計者
それぞれ意図がありますのでここでは言及しませんが、音質を考えると できるだけ素の良さを残しつつ真空管の差が活かせる邪魔をしない改造を心がけました。
御客様が聴く音楽ジャンルは クラシック。楽しむ予定の真空管は3種類で
mullard E88CC 、siemens CCA 、telefunken E88CC
ここで心配したのは真空管。特にtelefunken E88CCは1960年代のビンテージ管でなんと無開封。通常は交換やチェック作業は行っていますが、「代替え不能な責務を負う」ことはしません。御客様の方から 「ご自由に。責務は問いません」とのお話を伺いましたので 真空管を変えながら改造手法も変え最も自然にそれぞれの良さが出る改造を行いました。
オペアンプは信頼性のある日本製金メッキタイプの丸ピンソケットで真空管を交換しながらマッチングを合わせました。
御客様の要望は 100Hz 以上をこのアンプに担当させる予定と言うことで それも考慮に入れてテストしています。低域の鳴り方で中高域のイメージも変わることが多いためです。なおカップリングコンデンサーの種類でも大きく音は変わりますが、全体的な印象が良いアンプであることと、試してみた結果一部パスコンの交換にとどめ、こういう部分はオリジナルの良さを残しました。
改造 検証は、カーステレオ用のスピーカーだけで無く、KEF 8インチ同軸スピーカー等。また聞き慣れているスタジオモニタースピーカーでも最終テストを行っています。
ここでは 私の個人的な好みはあまり書くのもどうかと思いますのであえて書きませんが、御客様には感じ方をお伝えしたり、実際に真空管を変えた出音を録音して参考のためにお送りしました。
かなりハイエンドな構築を行うため時間はかかると言うことですが、知らせが届きましたら掲載したいと考えています。
2024/7/25
オーディオテクニカ ATH-W2002リケーブル
最近はヘッドフォンのリケーブルもヘッドユニットに端子が付いているものが多くなり非常に選択肢が広がりましたが、古い機種ではケーブル直付けも多くリケーブルは困難な場合が多いです。
また 工業製品ですのである程度の年数が経ちますと本体に以上はなくてもケーブルの断線も起こる場合があります。修理は多くの場合メーカー規定年数以上は有料でも行って頂けないケースがあり、高額機種は勿論ですが、思い入れのある機種などは復活させて長く使いたいものです。
今回 かなり古い機種と言うことも有って断線状態になっている オーディオテクニカ ATH-2002のケーブル修理にあわせてリケーブルも行いました。
リケーブルは バランス化も合わせて行いました。
バランス化改造にあたっては まず断線の状態をチェックすることから始めます。
他に問題が有るといけないからで断線箇所の特定を行って他に問題が無いことをできるだけ確認してから分解致しました。
改造する仕様に関しては その都度御客様とお打ち合わせを行い お客様の思いと行き違いの無いように配慮しております。
分解時気がついた点として ユニット背面の一次チャンバーにあるフィルタらしき発泡材が粉粉になっていました。薄いため 無くても大きな音質変化は無いと思いますが、装着されているのには何らかの理由があるわけで、綺麗に掃除した後 オリジナル同様の素材で交換を行いました。
オーディオテクニカ製のハイエンドヘッドフォンはハッキリしたサウンドで明瞭度は高いのですが、密閉型においては どちらかというと上寄りの感じが致します。
今回は バランス化ということもあり 低域の改善とできるだけフラットに感じるようなイメージで実施しました。
ワイヤは多くのヘッドフォンで癖が無くフラットなイメージの当社60ワイヤでコネクタはノイトリックXLR 3pinのハイエンドタイプ。シースは不要と思いましたが、タッチノイズの事もありますので 綿タイプがけと致しました。改造後の試聴では オーディオテクニカらしさを残しつつ艶やかな中高域と低域の量感や解像度も上がっているように感じました。
■お客さまの感想
(原文のまま掲載)
ようやく2002を使うことが出来ました。
高音も良くなりましたが、それ以上に低音が効くようになりました。
しばらく聞いていなかったですがここまで迫力がある音出せたっけ?と。
特に耳の疲れが無くなったのがびっくりです。
骨董品だし、かなり悩んで依頼しましたが大正解でした。
ありがとうございました。